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抱きしめたい気持ち



あなたからの手紙をそっとつまんで持ち上げたら

びんせんの文字がぱらぱらと落下した

なにも書かれていないびんせんを胸に抱きしめたまま

あなたを抱きしめたい気持ちを思いだす

床に落ちた文字をかき集めてあなたの言葉を探してみる


見つからないのであなたを裸にして

耳の穴や鼻の穴や口の中やもっとほかの穴や

からだじゅうの穴を覗いてみる

あなたがくすぐったそうに笑うのでわたしもつられて笑う


言葉をわすれたまま

あなたを抱きしめたくなってぎゅっと抱きしめる





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水音



アスファルトが打ち砕かれ湿った土が掘りだされた

雨も染みこまないのに土はしっとり濡れていた

いつそんなに濡れたんだろう

熱く溶けたアスファルトで覆われたとき

黒々したアスファルトが固く乾いたとき


トラックの荷台からこぼれた土を指先でつまんで

大きくぱっくり空いたからっぽの穴に落とす

わき出した水の音が聞こえた気がした






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眼鏡




眼鏡をかけるようになって

見えないものが見えるようになった

あの人の愛が欲望と支配に

まみれているのが見えるようになった

だから安心して

あの人を愛せるようになった





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埋葬




花を咲かせすぎた花の

枯れた茎を引き抜くと

ちぢんで皺くちゃの球根のまわりに

豆粒のような球根がへばりついていた

容赦なく小さな球根をむしり取ると

上着のポケットに仕舞っておく


黒い夕刻に輪郭をなくした町をうろつく

名前も知らない他人の花壇に忍び込み

整然と咲いた花の濡れた花びらを

鷲掴みにし引きちぎる


庭の隅に難なく深い穴を掘る

上着のポケットから小さな球根を取りだすと

乾いた皮がかさかさ鳴る

穴の底に球根を鎮め

濡れた花びらを手向けてやる





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どろどろ



中華鍋に残った脂がどろどろの白いかたまりになった朝

わたしの腹にはどろどろの黒いかたまりがあった

どうしてやろうかと思いつつ、引き裂いた白いシャツでどろどろをぬぐい去る

肌を粟立てながら泡立つスポンジで鍋のどろどろを落としていく

鍋を火にかけ水分をじゅっと蒸発させた頃

わたしの腹のどろどろはぎゅっと凝縮した小さなかたまりになった






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